タイトル:群像 2025年 9月号 | ||||
| 一挙掲載 | ||||
パルーカヴィルの夏 水の中を泳ぐ。空っぽになったり色々考えたりする。交わらないそれぞれは互いを知るよしもないけれど、ひとりで泳ぐ誰かを、たしかに眼差す人がいる。 | … | 長嶋有 | P11 | |
| 掌篇シリーズ | ||||
防衛 雨が降り続けて水かさが増え、家に皆が集まり始める。おれと妻は接待に忙しい、ツツイ的創生記。 | … | 筒井康隆 | P109 | |
| 創作 | ||||
背番号10のヘッドスライディング ゴミ置き場に捨てられた人形が、私を十五年前のグラウンドに誘う。少年野球の記憶とともに蘇る、あの頃の声とまなざし。 | … | 乗代雄介 | P292 | |
| 戦争総特集 80年目のサマー・ソルジャー | ||||
戦争総特集 80年目のサマー・ソルジャー この国が戦争を終えてから80年目の夏。私たちは知らず知らず戦争に手を貸す「兵士(ソルジャー)」となっていないか。目をそらしてはいけない。いまの世界とこれまでの歴史を見つめ、抗う。武器は持たずに。 | … | |||
| 創作 花火 外から花火の音が聞こえているのに、ベランダから花火は見えない、戦後八十年となる今年、私は四十歳になる。私が生まれたとき、戦争というのはいまの私が幼かった頃を思い出すほどの遠さというか近さにあった。 | … | 滝口悠生 | P114 | |
| 新連載 この空の下で もうすぐ、ここに私の居場所はなくなるーー。この広い空の下で、線を引き、区別をし、他者を排除してつくる居場所。ドイツに住む作家が肌で感じる「戦時下の空気」。 | … | 石沢麻依 | P127 | |
| 批評 不滅のイラン アメリカからの空爆を受けたイランのエスファハーン。磯﨑新と井筒俊彦を通して「日本」と直結した都市の原型的な建築、哲学に、破壊を再生に変えていく手がかりを見つける。 | … | 安藤礼二 | P134 | |
| 批評 戦争と野上彌生子 「一葉のみが明治大正を通じて唯一の女流作家というわけではない」。若き野上が感じた「ひずみ」は、現代日本社会でも解消されていない。近代日本における「戦争と文学」を直視し、大江健三郎から敬愛された小説家の仕事を追う本格批評。 | … | 工藤庸子 | P145 | |
| 批評 服と反戦の現在地 ウクライナのファッションから ロシアの全面侵攻以来、公の場でスーツを着用していないゼレンスキー大統領。軍服風の装いは敬意を欠いているという批判があふれた。ウクライナの人々の思いとクリエイションが幾重にも重なった、彼の装いを読み解く。 | … | 平芳裕子 | P186 | |
| 批評 人/類、人/種のために語り継ぐ言葉 林京子の文学世界 十四歳の時に長崎で被爆、約三十年後に文壇に登場し、核兵器が生命におよぼす被害と破壊を静かに、しかし一貫して訴え続けた作家、林京子。新たな核兵器が次々と開発されているいま、林文学が切実さをもって私たちに伝えるものとは。 | … | 渡邊英理 | P194 | |
| ルポルタージュ 大江健三郎と『ヒロシマ・ノート』の人々 大江健三郎が生涯を通して希求した「核兵器のない世界」。『ヒロシマ・ノート』にかかわる人々の軌跡を追った渾身のルポ。 | … | 尾崎真理子 | P208 | |
| ノンフィクション 父たちのこと⑨ 番外篇 フランクのこと 母の従兄弟のフランクは、日本人の父とアイルランド人の母の元に生まれ、「成英」という名で日本人として育った。日本の陸軍で通訳や翻訳係をつとめた彼の数奇な運命をたどり直す、ファミリーヒストリー。 | … | 阿部公彦 | P243 | |
| ノンフィクション トランスローカルに刻む記憶 北海道・新大久保・大村・有田 人が生きた場所には、かならず歴史の種がある。夫の父親の介護のために移住し、地域女性史の編み手となった女性、日本の植民地支配によって生まれた未解決の歴史課題を作品に込めた在日コリアン三世のアーティストーー家父長的暴力によって意に沿わない「移動」を強いられた、地域の人々の小さな声を拾い届ける。 | … | 伊藤春奈 | P266 | |
| ノンフィクション 「物語」の外に立つ 走行試験中のリニア中央新幹線に乗った。数ヵ月後、太平洋戦争末期に建てられた「一億総特攻」の碑を訪れた際、列車の窓からリニア実験線が見えた。ものを書くことをしていると、物事と物事をつなげて結びつけ、物語化しようとしてしまう。 | … | 前田啓介 | P275 | |
| エッセイ 戦闘機ではなく、織り機 「戦争」という言葉を初めて聞いたとき、それは私にとって戦いの意味ではなかった。戦争と植民地化によって、言葉と文化を奪われたダキア。その地に生まれたルーマニア語の底には、失われた言葉と文化、それを奪った戦争の気配がいまもかすかに息づいている。 | … | イリナ・グリゴレ | P284 | |
| 本の名刺 | ||||
小池昌代『Cloud on the 空き家』 | … | P301 | ||
長﨑健吾『柳田國男 計画する先祖たちの神話』 | … | P301 | ||
| 随筆 | ||||
中国の中の小さなフランス | … | 井口淳子 | P290 | |
鳩は太陽のありかを知っている | … | 九月 | P308 | |
リゴドンの思い出 | … | 髙山花子 | P346 | |
頭の中の人生 | … | チヒロ・オオダテ | P458 | |
映画館だけはやめておけ | … | 内藤由美子 | P496 | |
ひとりでみんなと生きていく方法 | … | 新谷和輝 | P522 | |
| 連載 | ||||
鳥のいない国 第 7回 | … | 円城塔 | P310 | |
きょくあじさしとくさのこ姫 第 8回 | … | いしいしんじ | P324 | |
B 第11回 | … | 松浦寿輝 | P337 | |
私的応答 第11回 | … | 井戸川射子 | P348 | |
オオカミの 第11回 | … | 高橋源一郎 | P356 | |
Wet Affairs Leaking 第21回 | … | 阿部和重 | P368 | |
口訳 太平記 ラブ&ピース 外道ジョンレノンを根絶せよ 第15回 | … | 町田康 | P376 | |
鉄の胡蝶は歳月は夢に記憶に彫るか 第85回 | … | 保坂和志 | P410 | |
運命の文学史 終わりから始まる物語 第 2回 | … | 須藤輝彦 | P440 | |
丁寧な暮らしの哲学 第 3回 | … | 戸谷洋志 | P452 | |
これからの人生。 第 4回 | … | 小西康陽 | P460 | |
庭を耕す 第 4回 | … | 山中瑶子 | P478 | |
女たちの群像 第 3回 | … | 渡邊英理 | P467 | |
あのころの面影 仏文回想記 第 6回 | … | 野崎歓 | P482 | |
ことばと演劇 第 8回 | … | 平田オリザ | P488 | |
くぼみにふれる 第 8回 | … | 百瀬文 | P498 | |
可愛い哲学 第 5回 | … | 三木那由他 | P504 | |
あいまいな世界の愛し方 第 9回 | … | 田村正資 | P511 | |
わたしたちの世界の数理 第 8回 | … | 全卓樹 | P517 | |
習い事だけしていたい 第15回 | … | 酒井順子 | P524 | |
ストーリーワイズ 第15回 | … | 立川小春志 | P534 | |
西高東低マンション 第16回 | … | 武塙麻衣子 | P529 | |
不浄流しの少し前 第18回 | … | 鈴木涼美 | P540 | |
誰もわかってくれない――なぜ書くのか 第19回 | … | 武田砂鉄 | P544 | |
星沙たち 第21回 | … | 青葉市子 | P548 | |
群像短歌部 第22回 | … | 木下龍也 | P554 | |
文化の脱走兵 第33回 | … | 奈倉有里 | P564 | |
現代短歌ノート二冊目 第59回 | … | 穂村弘 | P577 | |
日日是(にちにちこれ)目分量 第61回 | … | くどうれいん | P570 | |
星占い的思考 第66回 | … | 石井ゆかり | P574 | |
〈世界史〉の哲学 第166回 | … | 大澤真幸 | P580 | |
| 書評 | ||||
『ソロ・エコー』島口大樹 | … | 石沢麻依 | P594 | |
『柳田国男 計画する先祖たちの神話』長崎健吾 | … | 石橋直樹 | P596 | |
『鳥の夢の場合』駒田隼也 | … | 柿内正午 | P598 | |
『携帯遺産』鈴木結生 | … | 千種創一 | P600 | |
『たのしい保育園』滝口悠生 | … | 矢野利裕 | P602 | |
群像Web紹介ページ | … | P604 | ||
第69回群像新人文学賞応募規定 | … | P8 | ||
執筆者一覧 | … | P618 | ||
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